民主党と自民党が歩み寄る余地は十分あるのではないか。それをうかがわせる国会質疑だった。
谷垣禎一自民党総裁の26日の代表質問は、基本的には消費増税は民主党のマニフェスト違反であり、野田佳彦首相には税と社会保障の一体改革に関する与野党協議を呼びかける資格はないと批判する内容だった。早期の衆院解散を求めることに重点が置かれていたのは間違いない。
だが同時に谷垣氏は増税に伴う低所得者対策の不十分さや、民主党が検討している年金の抜本改革を実現した場合、消費税率はさらにどれだけ上がるのかなど、政府・民主党に対し、具体的な疑問もぶつけた。今のままでは財政健全化の目標は達成できないという危機感を自民党が共有していることもよく分かった。
私たちが聞きたいのはこのような質疑だ。いや、既に一体改革をめぐる実質議論は始まったとみてもいいほどだ。まずは毎週、党首討論を続けたらどうか。
ネックになっているのは、やはりマニフェスト違反問題だ。その点、野田首相の答弁はお粗末だった。首相はこう答えた。09年の衆院選で民主党が言ってきたのは次の衆院議員の任期中に消費税は上げないという話であり、任期は13年夏までだから、14年4月にまず8%に引き上げるという案は公約違反ではないと。
だが、強弁を弄(ろう)するとはこのことだ。大多数の有権者はそうは受け取っていない。そもそも「政権が代わって政治が変われば、いくらでも財源は出てくる」と財源の手当てを怠ったのが間違いの始まりだ。マニフェスト自体がいいかげんだった点、約束を果たせなかった点をもっと素直に認め、何度も謝罪すべきである。そうでないと前に進まない。
また当面の社会保障政策だけでなく、所得比例年金と最低保障年金を組み合わせるという将来の年金抜本改革についても早急に示す必要がある。そうすれば自民党も対案を示さざるを得なくなるはずだ。
谷垣氏は衆院選で信を問い直した後なら「ともに力を合わせて努力したい」とまで語った。民主党の公約違反問題も含め、いずれ有権者が判断する時期はくる。しかし、再三指摘してきたように、このまま総選挙に突入しても、民主党と自民党との違いは有権者にはよく分からない。
民主党は国家公務員の給与を引き下げる法案について、人事院勧告も合わせて実施するという自民、公明案を受け入れた。与野党歩み寄りの兆しが出てきたのは歓迎したい。衆院の1票の格差是正など、衆院解散前に与野党で結論を出さなくてはならない課題が、まだまだ山積していることも重ねて指摘しておく。
ソース:毎日新聞 2012年1月27日 2時31分
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